納骨先の決め方

納骨先の決め方のコツ

大切な方が亡くなって火葬が終わるといずれかの方法で納骨する必要があります。
「そもそも納骨するお墓がない!」という方もいらっしゃるでしょうし、もともと先祖代々のお墓があったとしても「お参りするには遠くて不便」とか「管理する費用や手間を抑えたい」という理由で新たに納骨先をお探しになる方もいらっしゃると思います。
何から手を付けたらいいか分からないという時のために、私どもで納骨先の種類と決め方について簡単にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

探す"軸"を決めておく

昔もともとあるお墓に納骨するか、生前に建てたお墓に納骨するくらいしか選択肢はありませんでしたが、現代では納骨方法も多様化しており、永代供養墓や樹木葬、海洋散骨といった新しい納骨方法も増えてきています。
当然それぞれにメリット・デメリットがありますので、ただ闇雲に探してしまうと「いったいどうすればいいの!」と決めきれないこともよくあります。
そんな時には探す"軸"をはっきりしておくことが重要です。
たとえば「初期費用は仕方ないにしても、年間の管理料はとにかく抑えたい」とか「いま住んでいるところから車で○○分以内にしよう」とか「親戚の人に文句言われないようなところが良い」とかですね。
こういう"軸"がはっきりしていると納骨先を探す時間も手間も大きく節約できますから、探す前に何となくイメージしてみて下さい。

納骨先早見表

いろいろある納骨先について、掛かる費用と知名度の高低で分けてみました。
地域などによって微妙にズレてくると思いますが、参考にはなると思います。

納骨先早見表

知名度も大事!

何となくイメージできましたでしょうか?
上の表に"知名度"を入れている理由としては、ご本人は良いと思っても、親類の方に「何でそんな納骨をしたんだ!」と後々文句を言われるケースも多くあるからです。
特に海洋散骨などは意見が分かれる代表ですよね。
周りに文句を言いそうな親類がいらっしゃる場合は、納骨前に一言声を掛けておいたり、知名度が高い納骨方法を選ぶのが無難です。

納骨先比較表



それではもう少し詳しく納骨先について書いていきます。
代表的な納骨方法について比較表を作りましたので、ご覧ください。
※なお下記の比較表はあくまで一般的なことで考えています。
ご地域やお寺さん等で大きく幅がありますので、あらかじめご了承ください。

swipe_right左右にスクロールできます

  初期費用 維持管理費 天候の影響 次代への負担 知名度 難易度
公営墓地 安い 必要 受ける あり 高い 高い
民営霊園 高い 必要 受ける あり 高い 低い
寺院墓地 高額 必要 受ける あり 高い 高い
納骨堂 高額 必要 受けない あり 高い 低い
永代供養墓 安い 不要 受ける なし 低い 低い
樹木葬 安い 不要 受ける なし 低い 低い
海洋散骨 高い 不要 受ける なし 低い 低い
手元供養 安い 不要 受けない なし 低い なし

各納骨先のメリット・デメリット

さらに各納骨先それぞれについてメリットとデメリットも記載しておきます。
納骨先候補に連絡する前にぜひご覧ください。

公営墓地

読んで字のごとく国や県、市などの自治体が運営している公営の墓地です。
公営墓地のメリットは何と言っても費用の安さです。
しかしながらその安さゆえに、空きが少ないこと、空きがあっても抽選になってしまうことが公営墓地のデメリットであり難易度を上げている部分です。

公営墓地のメリット・デメリット
公営墓地のメリット
  • 費用が安い
  • 知名度が高い
公営墓地のデメリット
  • 空きが少ない
  • 抽選になることが多い
  • 住まいの近くにあるとは限らない
  • 墓石代が別に掛かる

民間霊園

公営墓地に対して民間団体が運営している霊園です。
○○霊園とか○○メモリアルパークといった名称が多いでしょうか。
初期費用や管理料については、全国にたくさんの民間霊園がありますので一概には言えませんが、公営墓地よりは高いけれど、そこまで高額ではないといった費用体系です。

民間霊園のメリット・デメリット
民間霊園のメリット
  • 費用がそこそこ安い
  • 各地域に存在する
  • 申し込めばだいたい納骨できる
  • 急な相談にも応じてくれる
民間霊園のデメリット
  • 公営墓地よりも高額
  • 行きづらい場所の可能性あり
  • 次代へ継承する必要がある
  • 墓石代が別に掛かる

寺院墓地

寺院墓地はお寺の境内にあるお墓です。
基本的には檀家さんしか納骨できませんので、お坊さんが毎日みなさまに代わって供養をしてくれます。
定期的なお寺の維持管理に協力する必要があり、金銭的な負担以外にも時間的な負担も生じます。
なお寺院墓地の管理費用はお寺の収入源になっているので高額で、墓じまいや改葬の際はトラブルになるケースが多いです。

寺院墓地のメリット・デメリット
寺院墓地のメリット
  • お坊さんが毎日供養してくれる
  • お参りしやすい
寺院墓地のデメリット
  • 管理費用(お布施)が高額
  • お寺の維持管理に協力する必要あり
  • 次代へ継承する必要がある
  • 相性が悪いとトラブルになる

納骨堂

納骨堂はお寺の境内や自治体・民間団体の敷地に建てられている納骨スペースのことです。
普通のお墓を一軒家に例えると、納骨堂はマンションのような存在です。
省スペースで済むので都会にも結構ありますし、天候に左右されないのでいつでもお参りが可能です。
お寺の納骨堂でも檀家にならなくていい場合が多いです。

納骨堂のメリット・デメリット
納骨堂のメリット
  • 雨の日でもお参りしやすい
  • 都会にも多い
  • 管理がしやすい
  • 永代供養に切り替えるのも可能
納骨堂のデメリット
  • 階段がある場合がある
  • たくさんの骨壺は入らない
  • 費用が高いこともある

永代供養墓

永代供養墓とは他の方の遺骨と一緒に埋葬する形式です。
個別のスペースがあるお墓と違い、「いったいどこにお参りしたらいいんだろう?」といった心情的な問題が生じます。
しかしながら永代供養墓の最大のメリットは初期費用と数年の管理費用のみで後は全然お金が掛からないことです。
次代に金銭的な負担を掛けないようにとの気持ちから最近は永代供養墓を選ぶ方が増えてきました。

永代供養墓のメリット・デメリット
永代供養墓のメリット
  • 急な依頼でも納骨が可能
  • 次代に金銭的負担が掛からない
  • 管理がしやすい
  • 墓石代が不要
永代供養墓のデメリット
  • お参りの対象が曖昧
  • 他人の遺骨とまぎれる

樹木葬

樹木葬とは墓石の代わりに大樹をシンボルにし、最初の数年は個別スペースでの安置、数年後に他の方のご遺骨と合祀する形式です。
永代供養墓と同様に、次代に負担を掛けたくないといった理由で樹木葬を選ぶ方も最近増えました。

樹木葬のメリット・デメリット
樹木葬のメリット
  • 見た目が美しい
  • 次代に金銭的負担が掛からない
  • 管理がしやすい
  • 墓石代が不要
樹木葬のデメリット
  • お参りの対象が曖昧
  • 他人の遺骨とまぎれる
  • 山の手など不便な場所の可能性あり
  • まだまだ知名度が低い

海洋散骨

海洋散骨とはご遺骨をサラサラになるまで砕き、海に遺灰を撒くことを言います。
海洋散骨はその物珍しさからワイドショーなどで紹介されるケースが増えてきましたよね。
一見簡単でロマンあふれるイメージを抱く方も多いですが、注意点も結構あります。
たとえば山や公園、自宅の庭などの陸上に散骨するのは絶対にダメです。
海岸で撒くことも権利者に迷惑を掛けたり、遺骨遺棄に問われる恐れがありますからやめましょう。
したがってご遺骨を粉骨した後は、船で沖まで出て撒く必要があります。
ということで実際はそんなにお手軽な感じではありません。

海洋散骨のメリット・デメリット
海洋散骨のメリット
  • 急な依頼でも対応可能
  • 次代に金銭的負担が掛からない
  • 粉骨費用と船代だけで済む
  • 海が好きだった方には最適
海洋散骨のデメリット
  • お参りの対象が曖昧
  • 陸上や海岸では撒けない
  • 親族と揉める可能性あり
  • トラブルがないとも言えない

手元供養

手元供養とはお墓に納骨したり海に散骨したりするのではなく、みなさまのお手元でご遺骨を持っておくことです。
骨つぼのままご自宅に置いておいたり、粉骨してアクセサリーにしたりといったやり方があります。
ちなみにご自宅のお庭などにお骨を埋めると法律違反(※)となりますから絶対にやめましょう。
※墓地、埋葬等に関する法律 第4条

手元供養のメリット・デメリット
手元供養のメリット
  • 何も考える必要がない
  • 金銭的負担が掛からない
  • いつでも一緒にいられる
  • 納骨についてもゆっくり考えられる
手元供養のデメリット
  • 自宅のスペースを取られる
  • 自宅に遺骨があるという心理的圧迫(特に配偶者など)
  • 親族と揉める可能性あり
  • 次代が処理に困る場合あり




広い視野で考えてみましょう!

いかがでしたか?
昔ながらの納骨先から最近知名度が上がってきた納骨方法までまとめてご紹介しました。
選択肢が多いことは良いことですが、それが悩みの種になる場合もあります。
ご遺骨はご遺体と違い、腐ったり傷んだりする心配がありません。
ですから最初は広い視野でいろいろ考えて、「最初の1年は自宅で手元供養して、その後は永代供養墓に納めよう」とか「半分は永代供養墓に納めて、もう半分は散骨しよう」など複合的に考えても良いかもしれません。
ご遺骨を納めることは親族間で意外にトラブルになることが多いです。
近しいお身内さんだけでなく、口を出してきそうな親戚などにも配慮して慎重に決めたほうが良いですよ!